|
|
![]() ![]() リッピ監督は、海外でプレーする代表候補のチェックを怠ってはいない。幸いにして、現在彼がチェックすべき選手はすべてスペインのバレンシアでプレー中であり、リッピと親交のあるイタリア人のクラウディオ・ラニエリが監督を務めているため、3選手の近況を知るには楽な環境にあると言える。 リッピ監督は日頃から、「海外リーグでプレーすることが、代表選考において不利になってはならない」と、90年代末の海外選手敬遠の傾向を否定している。 だが、実際は、リッピとバレンシアの3人の関係は複雑だ。特に、マルコ・ディ・ヴァイオとの関係は険悪とも言える。かつてユーヴェでリッピの下でプレーしたディ・ヴァイオは、W杯予選のスロヴェニア戦(アウェー)で招集され、ゲームの終盤、1点を追う展開で起用されたが、同点シュートを決めることはできなかった。そして、次のベラルーシ戦(ホーム)では、ゲーム当日になってベンチからも外された。ディ・ヴァイオはベラルーシ戦での扱いに怒りを表明した。「リッピが監督でいる限り、代表招集には応じない」と漏らしたのである。リッピとディ・ヴァイオの関係が思わしくないというのは、今に始まったことではない。リッピがユーヴェの監督だった時から、2人は相互理解を欠いていた。そのまま、2人は歩み寄っていないのである。 ディ・ヴァイオは、リーガ・エスパニョーラの得点ランクのトップを走っていた好調時にスロヴェニア、ベラルーシとの2試合に招集された。彼としては、アッズーリFW陣の主力として招集された意識が強かったはず。だが、実際は、彼の評価はFW陣の中で最も低いものだった。リッピの格付けでは、ジラルディーノ、トーニ、コラーディの順番。そして、代表デビューとなったマウロ・エスポージトよりも下位にランクされていたのだ。 現在、ディ・ヴァイオのリーガでのゴール量産はストップしている。そんなディ・ヴァイオを、リッピが招集する可能性は著しく低いと言わざるを得ない。 ![]() ステーファノ・フィオーレは、ディ・ヴァイオ同様、ベラルーシ戦の18人から外され、タルディーニのスタンドからの観戦を強いられた。だが、フィオーレの状況はディ・ヴァイオのそれとはだいぶ違うようだ。ディ・ヴァイオが怒りを撒き散らしたのに対し、フィオーレはリッピと話し合い、状況を理解した上でバレンシアに戻っているのだ。 「君の能力を評価している。ユーヴェの監督当時、君を獲得したいと思っていたくらいだ。君が将来のアッズーリに不可欠な選手であることに変わりはない。今回、君を外したのは、身体的コンディションが理由だ」。リッピはこう説明して、フィオーレの了解を求めたのである。 ラツィオからバレンシアに移籍した当初のフィオーレは、体調が十分でなく苦戦を強いられていた(ベラルーシ戦招集はその頃の出来事)が、現在は調子を上げてきている。彼が再び代表に招集されるかどうかは、すべて今後のパフォーマンス次第だ。 フィオーレにとっての問題は体調だけではなかった。ラニエリとの確執が大きな支障となっていたのである。シーズン序盤戦、ラニエリ監督と激しく衝突したフィオーレは、チャンピオンズリーグのインテル戦で出場拒否するまでに至った。もちろん、確執の代償を払ったのはフィオーレである。 ただ、ラニエリ監督との関係も、ここに来てずいぶん良くなっているようだ。フィオーレにプレーの冴えが戻り、チームも上向きになっているからだ。 そんな状況下、リッピは、来る3月26日のW杯地区予選スコットランド戦にフィオーレを招集する考えがあることを表明した。リッピはフィオーレを信頼しており、来年のW杯本大会登録の23名の枠に彼を入れる可能性は高い。フィオーレのプレースタイルはリッピ好み。高いテクニックと強い精神力、MFのポジションならどこでもこなす戦術適応能力を高く評価しているのだ。4−4−2の左MFでプレーすることもできるし、カモラネーシに代わって、右サイドに入ることも考えられる。フィオーレは、リッピにとって様々なケースでピッチに送り出せる便利な選手なのだ。 ![]() ベルナルド・コラーディも、他の2人と同様、リッピと意見の衝突はあった。だが、コラーディが、リッピから高い評価を受ける選手であることに変わりはない。コラーディの優れた身体能力を最大限に発揮させるには、それなりの時間が必要だ。今シーズンの序盤戦、バレンシアのリズムに乗れなかった時も、リッピは彼を代表に招集した。それだけ、リッピがコラーディの能力を評価しているということである。 コラーディは、フィオーレ同様、リッピがユーヴェ時代に欲しがっていた選手だ。リッピはコラーディを、ゲームの展開を瞬時に理解できる数少ない選手の一人だと見なしている。恵まれた身体を生かし、空中戦でも迫力あるプレーを見せる。また、彼がチームプレーを優先するFWだということも評価の理由だ。彼は何が何でも自分でゴールを決めるタイプではない。パスを出したほうが良い時にはパスを選択できるFWなのだ。 彼の唯一の欠陥はゴールが少ないこと。これはストライカーとしては致命的な欠陥となるはずだが、リッピはさほど気にしていない様子。リッピの頭の中では、コラーディはヴィエリの控えとしてのポジションを占めているようだ。ただ、あくまでボボの控え。もし、ヴィエリがそれなりのプレーを続けるとなると、ジラルディーノのポジションが約束されている今、コラーディは3番目のFWのポジションをルーカ・トーニと争うことになる。さらに、ケガを克服しつつあるピッポ・インザーギもライバルになるだろう。コラーディにとって熾烈なポジション争いとなることは必至。 コラーディが代表でのポジション争いを勝ち抜くためには、リーガでの結果が必要となる。リッピからは信頼されているが、ラニエリ監督からの信頼は今ひとつという現状においては、まず、バレンシアのピッチでフル出場し、高いパフォーマンスを見せることが必要だ。
|
| 4 / 4 |