
“Fininvest”(フィニンヴェスト)はイタリア最大の企業グループの一つである。グループの頂点に立つのは、“フォルツァ・イタリア”党の創始者でもあり、現在、イタリア共和国の内閣総理大臣でもあるシルヴィオ・ベルルスコーニ。“フィニンヴェスト・ホールディング”社の副社長を務めるのは、前妻との間の長女、マリーナ・ベルルスコーニ。取締役として長男ピエロ・シルヴィオ・ベルルスコーニ、さらに、現夫人ヴェロニカとの間にできたバルバラ・ベルルスコーニを据え、ファミリーによる経営体制を強化している。フィニンヴェスト・グループの中核をなすのは、テレビ局“Mediaset”(メディアセット)、映画“Medusa”(メドゥーザ)、出版“Mondadori”(モンダドーリ)、保険“Mediolanum”(メディオラーヌム)など。そのスポーツ部門と呼ぶべきものがミランである。
一方、ユヴェントスの母体となっているのが“FIAT”(フィアット)グループだ。イタリア最大の自動車メーカー、FIATを経営するアニェッリ・ファミリーが、ユーヴェ創設時からクラブ経営に関与している。長年にわたってFIAT社とユーヴェを取り仕切っていたジョヴァンニ・アニェッリ、および、その弟のウンベルト・アニェッリが相次いで死去した後、FIAT社の会長の椅子には、ジョヴァンニ・アニェッリの“懐刀”と呼ばれたルーカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロが、副会長にはジョヴァンニ・アニェッリの甥にあたるジョン・エルカンが就任。さらに、ウンベルト・アニェッリの息子、アンドレア・アニェッリが取締役に就任するなど、アニェッリ家の支配が強化されている。また、ジョン・エルカンの弟、ラーポ・エルカンは最近、ユーヴェの会長職就任の意向を発表、ジョヴァンニ・アニェッリの息子、アンドレア・アニェッリも、ユーヴェの重役会に加わるなど、アニェッリ・ファミリーは、今後も積極的にユーヴェにかかわっていくようだ。
ちなみに、イタリアを代表する2大企業グループのオーナーの資産を比べると……“Financial Times”(フィナンシャル・タイムズ)によれば、資産100億ドル(約1兆1000億円)で世界第4位のベルルスコーニに軍配が上がる。一方、FIATグループで働く従業員の数は、何と16万3000人。従業員の数では圧倒的にイタリアナンバーワンの企業だ。
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オーナーの資産面でミランの勝利 |

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| ミシェル・プラティニと談笑する故ジョヴァンニ・アニェッリ(左)。誰からも尊敬されるカリスマ会長だった |
首相という公的立場と一企業の会長という役職を兼任することはできないという法律に従い、ベルルスコーニはミラン会長職から退いた。クラブの経営は副会長のアドリアーノ・ガッリアーニに託されている形だが(会長は不在のまま)、すべての決定権をベルルスコーニが握っていることは明らかである。サッカークラブの経営は赤字が常識。ミランの場合、フィニンヴェスト・グループがクラブ経営上の損失を埋め合わせするのが慣習になっている。昨シーズンのミランの収支は3000万ユーロ(約40億5000万円)の赤字。この赤字もフィニンヴェスト・グループが補てんしたはずだ。
アニェッリ・ファミリーは、ユーヴェの筆頭株主として種々の決定権を有してきたが、実際のクラブ経営にはそれほど関与していない。ユーヴェは、FIATグループの援助なくしてやっていけるだけの企業構造を有するに至っているのだ。マーケティング、マーチャンダイジング、不動産投資、テレビ放映権料などの収入により、ユーヴェは独立した一企業として黒字経営を実現させている。昨シーズンこそ1800万ユーロ(約4億3000万円)の赤字を計上したが、それまでの数年間は、常に、黒字経営。セリエAの最優良企業である。
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企業努力のユーヴェ、オーナーにおんぶに抱っこのミラン。
経営に対するスタンスを評価すればユーヴェの圧勝 |
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