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![]() まずは、おそらくヨーロッパ随一の卓越した経営手腕を持つであろうウディネーゼ。世界的な木材加工器具メーカー『フロイト・カザル』社を経営するジャンパオロ・ポッツォ・オーナーの下、フリウリの片田舎のチームは、この10年で実に7度のUEFAカップ出場を果たしている。これはウディネーゼのようなプロヴィンチャのチームとしては快挙と言えるものだ。ウディネーゼの現在のアッボナーティ(年間シート購入者)の数は約1万2000人で、それ以外の観客(毎試合チケットにお金を払う観客)は1000人ほど。観客動員の低下に悩むイタリアにおいても決して高い数字ではない。人気がなければ、当然、衛星テレビ(ウディネーゼは『SKY』と契約している)からの放映権料も微々たるものとなる。事実、04−05シーズンに『SKY』がウディネーゼに支払った放映権料は1300万ユーロ(約18億円)。ユーヴェの契約額の7分の1、ミランの5分の1でしかない。しかも、来シーズンはさらに値下げされるという噂もある。 しかし、ウディネーゼのフロント陣にとって、放映権収入の少なさは大きな問題ではない。それは、彼らが毎シーズン、1ユーロも使うことなく新しいチームを作り上げているからだ。「そんなことは不可能だ」と思う人もいるかもしれないが、ウディネーゼは実際にそうやってチーム経営を行っているのだ。 彼らはまず、ウディネで成長し市場価値の上がった選手を他チームに売りに出す。昨夏には、MFマルティン・ヨルゲンセンをフィオレンティーナに、共同保有だったカリアリのFWマウロ・エスポージトの保有権の50パーセントをカリアリに譲渡している。エスポージトのケースだけで、ウディネーゼは600万ユーロ(約8億1000万円)を得ているのだ。そして、その資金を使って、ほとんど移籍金のかからない有望な若手を数人、世界中から買い集めてくる。そのためにウディネーゼには、マヌエル・ジェロリン、エルネスト・ヴァルニエを中心とする優秀なスカウト陣が揃っている。 ウディネーゼのクラブ事務所には、“カセット・ルーム”と呼ばれる部屋がある。その部屋では世界中のリーグ戦の中継が見られるようになっている。スタッフは連日そこで隠れた逸材を探し続けているのだ。そこで興味深い選手をリストアップすると、ジェロリンとヴァルニエが現地へ出張して、実際の目でその選手のプレーを確かめる。そして、「使える」と思った選手の名を、オーナーの息子、ジーノ・ポッツォに伝え、最終的な承諾を取るという流れになっている。このやり方で、ウディネーゼはほとんどお金をかけることなく、ダビド・ピサーロ、アリ・サリー・ムンタリ、フェリーピ、ペル・クロルドルップといった選手を獲得してきた。また、イタリア人選手に関しては、移籍金がかからない契約切れの選手、あるいは共同保有選手の買取りという形での補強しかしない方針を貫いている。例えば、昨年の夏、ヨルゲンセンを売却した資金でウディネーゼが獲得した選手は、アントニオ・ディ・ナターレ、クリバーリ、マヌエル・ベッレーリ、ステーファノ・マウリの4人。ヨルゲンセンを売却して得た利益で“お釣り”がくるくらいだ。つまり、選手を売ったお金で多くの若手を獲得し、またその若手を育てて他チームに高く売る。それが彼らの基本方針なのだ。 ウディネーゼの選手たちの平均年俸は、約25万ユーロ(約3400万円)。マレク・ヤンクロフスキやピサーロといった主力選手でも、50万ユーロ(約6800万円)を超えることはない。今シーズン、ウディネーゼはチャンピオンズリーグ出場権を獲得したが、それでもその経営方針が変わることはないはずだ。 実際、シーズンが終了した数日後に、ウディネーゼはヤンクロフスキのミラン移籍を発表している。今後も、良いオファーさえあればピサーロやモルガン・デ・サンクティスといった看板選手でさえ放出するはずだ。ただし、周到な彼らは、主力選手が抜ける穴を埋めるための手をすでに打っている。U−20南米選手権で11ゴールを決める活躍を見せたコロンビアのロダレーガ(かつてロナウドは同じ大会で6ゴールしか挙げられなかった)、ベネズエラ出身のラミレス、セリエBのトレヴィーゾで大活躍したブラジル人FWバレートなど、有望な若手をしっかりと確保しているのである。 「どんな選手でも、魅力的なオファーがくればすみやかに放出する」。それが、ポッツォ・ファミリーのクラブ経営上の哲学であり、その哲学が変わることはない。それは、指揮官についても例外ではない。この3シーズン、素晴らしい手腕を発揮してきたルチアーノ・スパッレッティ監督も、ウディネーゼのベンチを去る可能性が高いのだ。後任には、トレヴィーゾを率いてセリエBに“旋風”を巻き起こしたジュゼッペ・ピッロンの名が挙がっている。
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