本誌記事 WebCALCiO 2002

今シーズン、セリエAで我々を最も驚かせたチームとして、多くの人がサンプドリアを挙げるだろう。シーズン前、さほどの戦力を持たないサンプがここまで健闘すると予想した人は少なかった。確かに、ウディネーゼほどクラブの運営方針が徹底されているとは言えない。しかし、安定経営を第一に考えているという点では、ウディネーゼと非常に似たビジョンを持ったクラブと言えるだろう。現在のリッカルド・ガローネ会長が前任のマントヴァーニ・ファミリーからサンプドリアを譲り受けた時、チームは膨大な累積赤字を抱え、セリエBに踏みとどまるのがやっとの状況だった。石油精製業を生業としているガローネは、イタリアでも有数の大富豪である。しかし彼は、「カルチョのために私産を投げ打つようなことはしない」と最初から決めていたようだ。彼は2002年3月にサンプの会長に就任すると、まずはセリエC降格のピンチからチームを救った。そして、ジュゼッペ・マロッタをGMに招いて、チーム再生のための資金として1000万ユーロ(約13億5000万円)を彼に預けたのである。

マロッタGMは、潤沢とは言えないその資金で可能な限りの手を打った。FWファビオ・バッザーニ、GKルイージ・トゥルチ、MFセルジョ・ヴォルピ、DFステーファノ・サッケッティなどの有力選手を獲得し、さらに移籍金ゼロでアンジェロ・パロンボ、ファビアン・ナターレ・ヴァルトリーナ、フランチェスコ・ぺドーネなどを入団させた。02−03シーズン、新加入組が中心となったサンプドリアはセリエBで2位に入り、5年ぶりのセリエA復帰を決めたのだった。

03年夏、ガローネ会長はセリエAで戦える戦力を整えるための補強に着手した。まず、アタランタから250万ユーロ(約3億4000万円)を投じてMFクリスティアーノ・ドーニを獲得し、ジュリオ・ファルコーネを契約切れに乗じて手に入れた。そして、ワルテル・ノヴェッリーノを監督に招く。契約条件は、年俸80万ユーロ(約1億1000万円)、06年までの3年契約であった。

03年夏の補強を終えた時点で、ガローネ会長は「今後はもう大規模な補強はしない。今のメンバーを軸にして戦っていくつもりだ」と公言している。つまり、「土台は作ってやったから、あとは自分たちで立派な家を完成させろ」ということである。

実際、04年夏のメルカートに向けた補強費用は微々たるものでしかなかった。マロッタGMは、FWヴィターリ・クトゥゾフ、FWファウスト・ロッシーニ、DFマルチェッロ・カステッリーニらを獲得。他にはレンタルでチーム全体の力を底上げできる選手たちを加入させた。今シーズンのサンプの躍進を予想する声がほとんどなかったのは、このように補強が地味だったからである。

それでも、04−05シーズンのサンプが素晴らしい成績を残せたのは、やはりノヴェッリーノ監督の卓越した手腕によるところが大きいと見るべきだろう。

ガローネ会長は、選手を年俸別に大きく3つのグループに分けている。まずは、ヴォルピ、フラーキ、ドーニといったいわゆる“ビッグネーム”。彼らは50万ユーロ(約6800万円)以上の年俸を受け取っている。次が、ディアナなど“成長株”グループ。年俸は平均30万ユーロ(約4000万円)と言ったところか。そして、3番目のグループが、“その他”と呼ばれる選手たちで、年俸は15万ユーロ(約2000万円)から20万ユーロ(約2700万円)。セリエAでプレーするサッカー選手の年俸としては最も低い部類である。

サンプドリアのカルチョメルカート部門を支えている重要人物が、マロッタGMであることは間違いない。だが、彼の右腕であるサルヴァトーレ・アズミニの存在も忘れてはいけない。アズミニは、有望なタレント発掘の天才。ウディネでジェロリンが果たしている役割をサンプで担当しているのが彼なのだ。

来シーズンのサンプドリアは、カンピオナートとUEFAカップの両方を戦わなければならない。しかし、ガローネ会長は大きな投資をするつもりはないようだ。今夏、マロッタGMが使える資金は昨夏と変わらない程度と言われている。そうなると、ノヴェッリーノ監督がかねてから切望しているヴェネツィア時代の教え子アルバロ・レコーバの獲得は難しいかもしれない。しかし、ボローニャのFWジャコモ・チプリアーニ、ユーヴェからシエナにレンタルされていたクロアチア人DFイゴール・テュドルなどの獲得は実現可能だろう。

来シーズン、サンプドリアは、おそらく衛星放送テレビ局『SKY』との契約だけでなく、マロッタGMと旧知の仲であるシルヴィオ・ベルルスコーニ首相が保有する『メディアセット』の地上波デジタル放送と新しい契約を結ぶだろうと言われている。そうなれば、従来の放映権料に加え、さらに100万ユーロ(約1億3500万円)の契約料がサンプドリアの収入に加算されるはずだ。

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