番狂わせ満載のリーグという事情は、今シーズンもまた変わらないはずだ。ただし、参加20チーム中、明らかに3チームの実力が突出した状態であることもまた事実である。ディフェンディングチャンピオンであり、最多優勝(28回)を誇るユーヴェ、昨シーズンのチャンピオンズリーグ決勝でリヴァプールにまさかの逆転負けを喫し、その雪辱に燃えるミラン、そして昨シーズンの最後の最後でコッパイタリアを獲得し、今シーズン開幕前にトリノでユーヴェを破り(1−0。得点者はベロン)、イタリアスーパーカップを手にして波に乗るインテル、この3チームが抜きん出ているという事実は否定できない。昨シーズン開幕前、評論家たちはこぞって「スクデット争いはユーヴェとミランの一騎打ちとなる」と予想し、実際のカンピオナートもそのとおりの展開となった。今シーズンはその2チームに絶好調のインテルを加えた、3チーム三つ巴のスクデット争いとなる可能性が非常に高いのだ。また、チャンピオンズリーグでもこの3強が優勝争いに加わるのではないかという期待を抱かせる。この3チームはいずれも、この夏、大胆かつ効果的な補強を敢行。スクデットとチャンピオンズリーグの2冠を狙えるだけの戦力を整えたと言えるからだ。
昨シーズンの戦力だけでも十分に優勝争いに参加できると評されていたユーヴェは、この夏、さらに中盤の核となる選手を獲得した。昨シーズンまでアーセナルのキャプテンを務めていたフランス代表のパトリック・ヴィエラである。ユーヴェで、彼は、ブラジル代表のエメルソンと世界最強のダブルボランチを形成することになる。カペッロ率いるユーヴェには、他にも実力のある新戦力が加わっている。クロアチア出身で昨シーズンまでバイエルン・ミュンヘンでプレーしていたDFロベルト・コヴァッチや、ラツィオから移籍してきたユーティリティープレーヤーのMFジュリアーノ・ジャンニケッダなど、そのほとんどが前所属チームでレギュラーとして活躍していた選手ばかりだ。ただし、選手層の厚いユーヴェでは、彼らが控えに回るケースも考えられる。
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| スクデット連覇とチャンピオンズリーグを狙うユーヴェ不動の正GKブッフォンは、開幕前のベルルスコーニ杯で肩を脱臼し、戦線離脱を余儀なくされた。後釜としてミランからアッビアーティを獲得した |
ビアンコネーロのゴールマウスを守るのは、今シーズンもブッフォンである。だが、彼はシーズン開幕前のベルルスコーニ杯でミランのカカーと接触し、負傷。数カ月間の戦線離脱を余儀なくされている。ディフェンスラインを統率するのは、リリアン・テュラムとファビオ・カンナヴァーロのセンターバックコンビで、MFの要は前述のヴィエラとエメルソンの2人である。また、FWのレギュラーは、おそらくトレゼゲとイブラヒモヴィッチだろう。また、03年のバロン・ドール受賞者、MFのパヴェル・ネドヴェドの存在も忘れてはならない。その他にも、第3FWとして、イタリアで最も愛されているジョカトーレ、デル・ピエロが控えており、今シーズンのユーヴェの布陣は盤石と言ってもいいだろう。
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| シェフチェンコ、インザーギとともにミランの強力な攻撃陣を形成する新加入のジラルディーノとヴィエリ。レギュラーとして確固たる地位を築いているシェフチェンコのパートナーの座を争う |
今シーズンのミランの最大の強みは、クリスティアン・ヴィエリ、ジラルディーノ、シェフチェンコ、フィリッポ・インザーギという4人のカンピオーネを擁する攻撃陣である。その破壊力は抜群であり、他チームの追随を全く許さない。問題は、カルロ・アンチェロッティ監督がこの4人をいかにうまく起用できるかという点にある。
シーズン終了後にはW杯が控えている。4人とも、できることなら1年間通じてレギュラーとして活躍し、代表入りをアピールしたいところだろう。ただし、起用法を誤れば、選手間に大きな亀裂が生まれる可能性もある。レギュラー争いが熾烈なのは、なにもFWに限ったことではない。ユーヴェ同様、ミランでもすべてのポジションで激しい生存競争が繰り広げられるはずだ。ゴールマウスには、ブッフォン、ペトル・ツェフ(チェルシー)とともに世界屈指のGKに名を連ねるブラジル代表のジダ。ディフェンスラインは、すべてのチームの羨望の的、アレッサンドロ・ネスタとパオロ・マルディーニのコンビがコントロールする。一方、中盤にはさまざまなタイプの選手が絶妙なバランスで混ざり合っている。闘志溢れるファイターのジェンナーロ・イヴァン・ガットゥーゾ、類い希なテクニックと戦術眼を兼ね備えた天才レジスタのアンドレア・ピルロ、創造力溢れるプレーを持ち味とするクラレンス・セードルフ、そして、トップ下には世界で最もスペクタクルな選手と言われるカカーがいる。ブラジル代表のキャプテン、カフーもミランに欠かせない選手。彼は今シーズンもまた、無尽蔵のスタミナを武器に、右サイドを走りまくることだろう。
大物選手の加入で、インテルの戦力は飛躍的にアップしたように見える。しかし、インテルにはそれ以外にも大きなプラス要因があった。それはヴィエリのミラン移籍である。というのも、昨シーズンのヴィエリは明らかにチームの“異端児”となっていたからだ。彼が抜けたことによって、アドリアーノとオバフェミ・マーティンスとの若手コンビが伸び伸びとプレーできるようになるはずだ。問題は2人のコンビネーションだが、それも試合を重ねるごとによくなっていくだろう。その若き2トップを、ここにきてようやく完成してきたMF陣が後方から支える。ウディネーゼから移籍してきた新戦力のダビド・ピサーロは、チーム全体を操ることができるレジスタ。その彼をサポートするのが、運動量が豊富でボール奪取に長けたセンターMFのエステバン・カンビアッソである。攻撃面では、セルビア・モンテネグロ出身のユーティリティープレーヤー、デヤン・スタンコヴィッチと、独特の発想で攻撃を組み立てるフアン・セバスティアン・ベロン、その他にも、レアル・マドリーからドリブルとアシストの天才、ルイス・フィーゴが加わったことは大きい。今シーズンのインテルは、DF陣の戦力も充実している。レアルからアルゼンチン代表のセンターバック、ワルテル・アドリアン・サムエルが、そしてフランチェスコ・トルドの控えとして若いブラジル人GK、ジュリオ・セザルがこの夏、ネラッズーロのユニホームに袖を通している。昨シーズンは序盤に多くの勝利を取りこぼし、早々と優勝戦線から脱落したインテル。ロベルト・マンチーニ率いるインテルの目標は、その教訓を生かしつつ、最後の最後までスクデット争いに絡むことなのだ。
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