本誌記事 WebCALCiO 2002

ユーヴェ、ミラン、インテル、この3強の力が他のチームを圧倒していることは誰の目にも明らかである。しかし、“カルチョの強豪”のリストがここで終わったわけではない。ヨーロッパのカップ戦を戦うウディネーゼ、サンプドリア、パレルモの3チームも侮れない存在。実際にこの3チームからは、マルチェッロ・リッピ監督率いるイタリア代表に多くの選手が招集されている。ウディネーゼからはGKのモルガン・デ・サンクティスとFWのヴィンチェンツォ・イアクインタ、サンプドリアからはサイドMFのアイモ・ステーファノ・ディアナ、パレルモからはDFのクリスティアン・ザッカルド、アンドレア・バルツァーリ、MFのファビオ・グロッソ、シモーネ・バローネなど、所属チームの躍進とともにアッズーリの戦力アップにも貢献しているのだ。

ローマの中心選手であるトッティの活躍とカッサーノが正真正銘のカンピオーネとなることが、“強いローマ”を復活させるカギとなる。カッサーノにはメルカート最終日まで移籍話が浮上していたが、残留を決意

この3チームは今シーズンも個性溢れる素晴らしいサッカーを展開してくるだろう。だが、ウディネーゼがナイジェリア出身のMFクリスティアン・オボドやブラジル出身のFWバレート、パレルモがナイジェリア人FWステファン・マキンワ、ブレッシャから獲得したFWのアンドレア・カラッチョロなど若手にチームを託しているのに対し、サンプドリアはここ数年で築き上げた経験を武器にカンピオナートを戦っていくようである。実際に、今夏の主な補強は“貧者のジダン”との異名を持つファンタジスタ、ランベルト・ザウリと長身FWエミリアーノ・ボナッツォーリをレッジーナから獲得しただけにとどまっている。

理論上はローマも復活のための戦力が整っていると言える。今シーズンもチームの中心となるのは、世界で最も完成された選手の一人であるフランチェスコ・トッティ。ベンチには昨シーズン、ウディネーゼを4位に導いたルチアーノ・スパッレッティが座る。主な新戦力は、DFのサミュエル・クフォーと中盤のロドリゴ・タッデイ、FWのジャバニ・ノンダの3人。彼らがうまく機能すれば、スクデット争いを演じていた頃のような“強いローマ”を復活させることも十分可能なのである。さらには、見事な復活を遂げたヴィンチェンツォ・モンテッラが、昨シーズンのような活躍ができるのかどうか、問題児アントニオ・カッサーノが正真正銘のカンピオーネになるための殻を破ることができるのかどうか、その点にも注目が集まる。

古豪フィオレンティーナも必死にかつての栄光を取り戻そうとしている。そのためにこの夏、フロントはブルガリア出身の若き天才ヴァレリ・ボジノフのパートナーとして、パレルモでの2シーズンで50ゴール(一昨シーズンはセリエBで30ゴール、昨シーズンはセリエAで20ゴールを挙げた)を記録した大砲ルーカ・トーニを獲得した。さらに、昨シーズン、チームの足かせとなったDF陣を強化するため、GKのセバスティアン・フレイをパルマから譲り受けた。フレイには、フランス代表のレギュラー獲得という大きな目標もある。当然、W杯を前にした今シーズン、フレイは必死の覚悟でヴィオラのゴールを死守するだろう。

これまでに挙げた以外のチームの目標は、セリエA残留ということになるのだろうが、どのチームもスペクタクルなサッカーを展開する要素を十分に秘めた集団である。チームの支柱だったジャンフランコ・ゾラを失ったカリアリは、昨シーズン16ゴールを挙げたイタリア代表FWのマウロ・エスポージトが残留。若きエースのさらなる飛躍に期待がかかる。レッチェは、この夏、セリエAでそれなりの戦いを続けるための貴重な戦力を何とか確保した。アルゼンチン国籍のMFクリスティアン・レデスマと昨シーズン28試合に出場し、19ゴールという好成績を残したセルビア・モンテネグロ国籍のFWミルコ・ヴュチニッチの2人を軸にして、今シーズンもまたセリエAに旋風を巻き起こそうとしているのだ。リヴォルノは昨シーズンの得点王ルカレッリ、シエナはイタリア史上最高のボンバーの一人であるエンリコ・キエーザ、ラツィオは旗頭のパオロ・ディ・カーニオとトンマーゾ・ロッキの2人を軸としてシーズンに挑むようだ。
バレンシアからセリエAに復帰したコラーディがパルマの目玉。スペインでは結果を残せず不本意なシーズンを送っただけに、巻き返しに期待がかかる
今シーズンのパルマの目玉は、スペインからイタリアに復帰した元イタリア代表のFWベルナルド・コラーディと中盤のダイナモを務めるブラジル人MFファビオ・シンプリシオだろう。アツシ・ヤナギサワが所属するメッシーナは、サイドバックの点取り屋、アレッサンドロ・パリージ(一時はジェノアへの移籍が決定したが、ジェノアのC1陥落に伴いメッシーナに復帰した)がチームを仕切る。得点力低下が危惧されるレッジーナは、U−21イタリア代表のセンターフォワード、ローランド・ビアンキの爆発力に期待せざるを得ないのが現状だ。キエーヴォはサイドMFのフランコ・セミオーリとブラジル人FWアマウリらの成長にチームの命運をかける。

昇格組では、エンポリが面白そうだ。ファンタジスタのイグリ・ヴァンヌッキ、ゴールゲッターのフランチェスコ・タヴァーノが昨シーズン、セリエBで見せたような活躍ができれば、セリエAで勝ち点を積み重ねることも可能だろう。トリノとジェノアの降格が決まり、“棚ぼた式”でA昇格が決定したトレヴィーゾとアスコリも、上位チームにとって決して侮れない存在となるはずである。昨シーズン、レジナウドとバレート(現ウディネーゼ)という若手ブラジル人2トップでセリエBに旋風を巻き起こしたトレヴィーゾは、移籍したバレートの代役にトリノからファンタジスタのピンガを獲得。昨シーズン同様、ブラジルコンビが攻撃陣を牽引する形となる。アスコリは、ヴィオラから元インテルでイタリア代表にも選出されたこともあるダニエレ・アダーニを獲得、1991−92シーズン以来のセリエAに挑む。

セリエAでは、始めから勝負が見えている試合など、ほとんど存在しない。弱小クラブが思わぬところで“グランディ”に手痛い一撃を加えることもあるのだ。そうした“意外性”こそ、イタリアサッカーを唯一無比のものとしていると言えるだろう。

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