本誌記事 WebCALCiO 2002

昨シーズンと比較すると、今シーズンのインテルは明らかに成熟度が増している。それは序盤戦の戦いぶりを見れば明らかだ。失敗と言えるのは、ホームでサンプドリアと引き分けたゲームだけ。それ以外のゲームでは、ロベルト・マンチーニ監督はほぼ完璧な指揮を見せた。まさに、スクデットを狙うに相応しいチームとしての戦い方である。第14節までで特筆したいのは、フィオレンティーナ、ローマ、ミランとのダービーマッチ、そしてパルマから挙げた勝利である。

まずはフィオレンティーナとの開幕戦、インテルが苦手とするフィレンツェでのアウェーゲームだった。相性の良くないアルテミオ・フランキでの接戦を制したインテルは、第3節にスクデット争いのライバル、ローマをスタディオ・オリンピコで撃破。開幕戦、第3節と続いたアウェーでの強豪との対戦に勝利したことで、“スクデットへの第一歩”とも言うべき最高のスタートダッシュとなった。さらに、ミラノ・ダービーでの勝利は心理面で大きな意味を持つ勝利だった。マンチーニ監督はこの試合を「大きな転機となるゲーム」と定義している。

そして、第11節のパルマ戦での勝利。下位に沈む相手から挙げた勝利は当然と見られがちだが、今シーズンのインテルが、チームとして成熟していることをはっきりと証明した試合だったと私は考えている。自陣を固める相手の守備を崩すきっかけを見いだせない試合展開。だが、昨シーズンまでのインテルなら、このような展開のゲームを勝ち切ることができなかった。ところが、この試合のインテルは、ロスタイムにフリオ・クルースが決めて勝ち点3を手にしたのである。スクデット獲得のためには、苦しい試合でも勝ち点3を取っていく必要がある。これまでなら勝ち点1だったのが、今シーズンは3点をもぎ取ることができるようになった。これはまさしく革命である。


マンチーニ監督は自身のサッカー哲学に少し変更を加えたようだ。今シーズンは、間違いが決して許されないシーズン。どんなことがあってもスクデットを逃すことは許されない状況下で、彼は“スペクタクルなサッカー”をひとまず封印し、確実に勝ち点を狙う“実利的なサッカー”に気持ちを切り替えた。

今シーズン、キャプテンのサネッティは中盤でプレーする機会が多い。献身的なプレーで、分厚い中盤を形成している

実際、インテルのサッカーが以前よりつまらなくなったと言う人は少なくない。ただ、マンチーニが具体的な結果を望んでいる以上、そうなるのは当然である。今シーズンの戦術的特徴として、中盤の中央に3人のMFを置いていることが挙げられる。パトリック・ヴィエラ、オリヴィエ・ダクール、ハビエル・サネッティの3人が、トレクアルティスタを背後から支えるという形の中盤。相手チームにとって、この分厚い中盤を突破することは至難の業だ。彼らのおかげで試合をコントロールする能力は向上した。ただし、中盤でボールを散らすタイプのMF、フアン・セバスティアン・ベロン、ダビド・ピサーロのようないわゆるレジスタを欠いている。そのために攻撃のパターンが少なくなった感は否めない。

最近のマンチーニは、どこかファビオ・カペッロに似てきたように思われる。つまり、スペクタクルなサッカーよりも結果を望む監督になってきたのだ。“ベル・ジョーコ”(美しいサッカー)の信奉者であるマンチーニと、どこまでも実利を追求するカペッロは対照的なサッカー哲学の持ち主。しかし、今シーズンのインテルはスクデットを勝ち取らなくてはいけない立場にある。マンチーニのサッカーがカペッロのそれに近づいているのもやむを得ないと見るべきなのだろうか……。

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