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| スコットランド戦はトーニの2ゴールによりイタリアが快勝。この日の勝利によってイタリアの予選通過の可能性が現実的になってきた |
ドナドーニ監督は、リッピのようにすべての批判を見返すだけの頑固さと強い精神力は持ち合わせていないが、報道陣の一部だけでも味方につけようとジャーナリストに調子のいいことばかりを言うタイプでもない。70歳以上の重鎮でなければ尊敬してはもらえないこの業界では、43歳のドナドーニは若輩者だ。しかし、バーリに駆けつけた3万7500人の観客は、『You’ll never walk alone』のような温かい声援で彼を迎えた。もしかしたらスタディオ・サン・ニコラに詰めかけた観客だけだったのかもしれないが、イタリア国民はかつてないほどの好意をドナドーニのアッズーリに示したのである。そして、選手たちは監督の指示に忠実に従い、それぞれのポジションで与えられた役割を果たした。それは、「我々はドナドーニ監督について行く」というメッセージのようだった。
この試合のスタメンで起用された11人のうち10人が、ドイツでW杯を天に掲げた選手たちだったということも重要な要素である。つまり、彼らはドイツW杯で優勝したことで、勝利への欲求やモティベーションを失ってはいなかったことを証明したのである。実際にワールドチャンピオンになった満腹感が悪影響を及ぼしたのは、ナポリで引き分けたリトアニア戦ぐらいだろう。パリでフランスに負けたのは想定内のこと。だが、リトアニア戦は、チーム力や格、そして、ホームだったことを考慮すれば、どんなことがあっても勝たなければならない試合だった。しかし、ドナドーニはドイツW杯に出場した選手の多くをメンバーから外して試合に臨み、手にするはずだった勝ち点3をみすみす逃してしまったのだ。
ドナドーニは監督としてのビジョンを明確に持っている。彼の決断の正否はともかく、それを実行しようという意志は感じられる。もっとも、デル・ピエロのような指揮官に忠実な選手に恵まれていることは無視できない。デル・ピエロはトリビシでのグルジア戦ではベンチから外され、スタンド観戦を言い渡された。そして、今回のスコットランド戦でもベンチスタートを命じられている。しかし、彼は不満をこぼすことなくドナドーニの指示に従った。「大金をもらっているのだから、それくらいの我慢は当然だ」という意見もあるだろう。確かに、そのとおりだと思う。だが、代表招集に対してチームの都合を棚に上げて勝手に振る舞う選手がいる中、デル・ピエロは常に代表招集に応じ続けている。つまり、才能や実力ではなく、単にプロ意識の高さの問題なのだ。
スコットランド戦でトーニがゴールを決めてくれたおかげで、ドナドーニと報道陣はとりあえず一時的な停戦状態に入った。しかし、EURO2012予選が再開される6月(2日のフェロー諸島戦と6日のリトアニア戦)には、再び戦いが始まるだろう。我々報道陣は、今度はどのような手で攻めるのか。一方、ドナドーニはどう反撃してくるのだろうか。もはや我々は、長く同じ芝居を演じている役者のようなものだ。我々には無風状態は許されない。嵐の海こそが、我々に生きがいを与えてくれるのだ。
もちろん、論争に疲れたり、良心的になりすぎたりすることも許されていない。我々に与えられた役割は終戦という言葉とは全く無縁なものであり、記者会見場では常に罵り合わなければならないのだ。そして、論争が終わると、あたかもそれが台本に書かれているかのように、チームはマスコミとの接触を遮断する。その後の芝居の段取りは実に簡単。合宿の初日から2日間くらいは、外国メディアも取材に来ていることだし、きれい事を言い合っておとなしく過ごす。そして、合宿も3日目あたりから論争が激しくなっていくというものだ。
今回は、アンチェロッティが次期監督候補と騒がれて話題になったが、次のフェロー諸島戦に備えて、論争の話題を提供してくれそうな人物を改めて見つけ出す必要がある。最近、ファビオ・カペッロの株が下落しつつあるのは残念だ。ドナドーニの代表監督の座を揺さぶる次の候補にもってこいの名前だったのが……。さて、次は誰がドナドーニの後釜候補として名を挙げられるのだろうか?
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