かくして、異常な形で始まったカンピオナートは、異常な形でありながら、ごく当たり前の形で幕を閉じた。今シーズンのセリエAは、ハンディキャップ制だったと言えるだろう。参加者にはそれぞれ異なったスタートラインが用意されていた。開幕後のハンディ修正もあった。リーグ戦の途中でペナルティーが軽減されて順位状況が変わるたびに、ファンは混乱したものである。
ただし、最終順位表は、各チームの強さが正しく反映された妥当なものだと言えるだろう。スクデットを制したのは、明らかに全20チームで最も強かったインテルである。その圧倒的な強さは誰もが認めるもの。今シーズンのインテルは、あらゆる記録を打ち破った。まずは17連勝の記録。この記録を塗り替えるのは相当難しいだろう。そして、38試合で30勝という勝利数記録、97という勝ち点記録も今後長く残るはずだ。また、2位との勝ち点差24という数字も、インテルの強さを物語っている。
インテルは決して洗練されたサッカーを披露したわけではない。ロベルト・マンチーニ監督の下、彼らが実践したサッカーはあくまで実利を重視したサッカーだった。今シーズン、調子の良い時のインテルは、すさまじい破壊力を見せた。インテル快進撃の原動力となったのは、間違いなくズラタン・イブラヒモヴィッチである。シーズン終了とともにルチアーノ・モッジを擁護する発言で、評判を落としたが、それでも、今シーズンのスクデット獲得の最大の立役者がイブラであることは誰もが認めるところ。
イブラとともに、MVP級の活躍を見せたのがマルコ・マテラッツィだろう。多国籍軍団インテルの中でイタリア人の誇りと名誉を守ったマテラッツィは、ワールドカップ制覇で得た勢いをそのままリーグに持ち込み、シーズンを通して好パフォーマンスを見せた。強く確実な守備を示すだけでなく、セットプレーでヘディングの強さを発揮。DFながら10ゴールという数字は高い評価に値する。

フランチェスコ・トッティは26得点を挙げ、自身初となるセリエA得点王となった。ローマの選手がセリエA得点王になったのは85ー86シーズンのロベルト・プルッツォ以来のこと。カンピオナートでのトッティは、“固め打ち”が多かったのが特徴。実に9度のドッピエッタ(1試合2得点)を記録している。カップ戦を含めたゴール数は32となる。ただし、今シーズンのトッティのすごさは得点数だけではない。ほとんどの試合に出場し、昨シーズンに負った大ケガの後遺症を完全に払拭している。セリエA全38試合のうち35試合に出場、そのすべてがスタメン出場である。これでセリエA通算出場数は370試合となった。チャンピオンズリーグ、コッパイタリア、イタリアスーパーカップを含めると、実に50試合に出場する“フル稼働”ぶり。また、出場時間はデ・ロッシに次ぐチーム2番目の3022分となっている。
インテルのライバルとして、何とかセリエAを盛り上げようとしたのがローマだった。革新的でクオリティーの高いサッカーを展開して、2位を確保している。そのローマのエース、フランチェスコ・トッティは、フィジカル面で多少の問題を抱えていたものの、その素晴らしいボールタッチとシュート力を生かして、本職のストライカーを上回る得点を記録した。今シーズンのトッティが記録したゴール数は26(外したPKが5回)。ヨーロッパ得点王に与えられるゴールデン・ブーツ賞を手にする可能性もある(レアル・マドリーのルート・ファン・ニステルローイが残り2試合で4点以上を決めない限り、トッティのゴールデン・ブーツ賞獲得が決まる)。
トッティは、いわゆるセンターフォワードタイプの選手ではない。本来はトレクアルティスタとしてゴールとチャンスメークの両方で力を発揮する選手である。トッティとの比較で、私は以前、グランデ・トリノのキャプテン、ヴァレンティーノ・マッツォーラの名前を挙げた。マッツォーラは10番であると同時に、最高のストライカーでもあった。今シーズンのトッティは、点取り屋としても並外れた才能を持っていることを立証した。伝説の選手マッツォーラにまた一歩近づいたと言えるだろう。
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