本誌記事 WebCALCiO 2002

アンドラーデ、グリゲラの外国人コンビに代わって、現在ユーヴェのバックラインを統率しているのは、ニコーラ・レグロッターリエ、ジョルジョ・キエッリーニの国産コンビである。ラニエリが最初にこの2人をレギュラーに起用した時、多くの人が驚いた。レグロッターリエはここ数年、メルカートのたびに放出候補として名前が挙がっていた選手だ。セリエBを戦った昨シーズンでさえ、ほとんど出場機会を与えられなかったDFである。また、キエッリーニも、本職はセンターではなく左サイド。フィジカル面は申し分ないが、気性が激しく、つい最近まで「イタリアよりもイングランドでプレーしたほうが良いのではないか?」と揶揄されていた選手なのだ。

本来は左サイドバックながら、センターバックとして起用されるキエッリーニ。ハードプレーでパワフルなFWとも対等に渡り合う
レンタル要員だったレグロッターリエだが、アンドラーデ、グリゲラという2人の外国人選手を押し退けてレギュラーに定着した
ピークは過ぎたかに見られていたザネッティだが、ベテランらしい味のあるプレーで中盤を支える
そのザネッティとコンビを組むのは22歳の新鋭ノチェリーノ。相手の攻撃の芽を摘む貴重な存在

ところが、今やこの2人が素晴らしいコンビとなって、チーム躍進の原動力となっている。レグロッターリエの冷静さとキエッリーニの闘争心が良い具合に混ざり合い、絶妙のコンビネーションを生み出しているのだ。特に目立つのが、キエッリーニのフィジカルの強さ。おそらく、インテルのズラタン・イブラヒモヴィッチを真っ向から受け止めることができるDFは、セリエA全体を見渡しても彼くらいではないか。それほど、今シーズンの彼の力強い守備は際立っているのである。

次に中盤だ。チアーゴとアルミロンには大きな期待が寄せられていたが、連係不足もあって周囲と噛み合わないまま、リズムを狂わせていった。攻撃面では平凡、守備面では致命的に脆かった。中盤で相手の攻撃を食い止めることができず、DF陣に過度の負担を強いたのである。開幕から数試合を経た時点で、ラニエリは「この2人はセリエAでは通用しない」と判断。そして、そのポジションに起用した22歳の新鋭アントニオ・ノチェリーノ、ベテランのクリスティアーノ・ザネッティの2人のイタリア人選手が、すぐに結果を出してそのままレギュラーポジションを確保したのである。ラニエリの見立ては正しかった。特に元イタリア代表のザネッティの起用が的中したことは大きい。ここ数年はコンディションが整わず、目立った活躍ができなかったが、ケガさえなければ現在でもセリエAでも屈指の実力を持ったセントラルMFであることが証明されたのだ。このまま良いコンディションを保つことができれば、シーズンを通じてかなりの働きを期待できる。

こうして見ていくと、今シーズンのユーヴェが、いかに、国外から獲得してきたスター選手ではなく、もともとチームに所属していた“労働者タイプ”の選手を軸にしてシーズンを戦っているかが分かるだろう。勘違いしないでほしいのだが、“労働者”という言葉を決して否定的な意味で使っているのではない。カルチョの世界では時に、“労働者”がチームを天国へと導く。そして、彼らの働きは、スター選手にも少なからず伝播するものなのだ。

今シーズンのユーヴェのカンピオーネの中で、そうした雰囲気を最も敏感に感じ取っているのは、FWのダヴィッド・トレゼゲだろう。トレゼゲと言えば、高い得点能力が自慢のセンターフォワードだが、これまではどちらかと言うと「シュート以外のプレーには全く興味を示さないタイプ」だった。つまり、彼がその優れたポジショニングセンスとテクニックを駆使するのは、ゴール前の限られたスペースだけだったのだ。ところが今シーズンは、イタリアの辛口の評論家たちが、「トレゼゲは変わった」と口を揃える。私自身も、こんなに献身的にチームのためにプレーする彼を見るのは久しぶりだと思う。今シーズンのトレゼゲは、必要とあらば中盤にまで下がってディフェンスに加わる。しかも、第17節終了時で13ゴールと、決定力の高さは相変わらず。現在のトレゼゲは、まさに完成されたFWへと進化しつつあるのだ。

昨シーズン、セリエBで批判の的だったトレゼゲだが
ここまではゴールを量産している
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