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これまで見てきたのは、現代サッカーのハードな戦いに耐えるための理想的な食生活の例だ。現に、イタリアの北から南まで、セリエAからDまでのどのリーグでも、すべてのクラブが同じような食事法を採用している。体の正常な機能を保ち、最良のパフォーマンスを得るために、規則正しくバランスの取れた食事をすること。これは、一般人が健康を保つために心得るべきことでもある。食文化が豊かなイタリアだけに、この国のアスリートには人一倍栄養を考えて管理するという考えが根づいている。もちろん、食欲をそそる“誘惑”が多いイタリアのこと、たまには甘いクロワッサンや高カロリーのピッツァを楽しまないわけにはいかないが、現役選手としてのキャリアを長く続けるには、食事を適切にコントロールすることは必要不可欠だと、誰もが認識している。 もっとも、選手も生身の人間だ。クラブ側が食生活に関する厳しい制限を課しても、それが常に守られているかどうかは疑問である。そもそも、クラブ側が選手の私生活を監視するわけにはいかないのだから。アントニオ・カッサーノが家ですさまじい量のパスタをたいらげようと、ロナウドとクリスティアン・ヴィエリがシュラスコ店で脂ののった肉を大量に食べようと、アドリアーノが浴びるほどビールを飲もうと、クラブがそれを完全に防ぐことはできないのだ。 ところが、イタリア以外の国では、状況は大幅に違う。ジョヴァンニ・トラパットーニがバイエルン・ミュンヘンの監督に就任した時、目の前にした光景に唖然としていた。私は当時、トラップの現地アシスタントを務めていたのだが、合宿初日の朝、朝食用に準備されたバイキングテーブルを見て、トラップは驚きで言葉を失ったのだ。そこには、シリアルやはちみつの他、目玉焼き、ゆで卵、スクランブル・エッグといった各種の卵料理、脂がしたたるベーコン、バイエルン地方名産のバター、そしてスポーツ・ディレクターのウリ・ヘーネスが経営する会社が製造したソーセージが豪華に並べられていた。さらなることに、テーブルの中央には、エビとキュウリとオリーブが盛られたボウルが鎮座していた。これらは、イタリア人監督の多くが毛嫌いする食材である。飲み物は、ミルクをふんだんに泡立てたカップチーノが出された。トラップは食文化の違いを受け入れようとしたが、それは簡単なことではなかった。 昼食となると、状況はさらにひどかった。パスタが出されるのはイタリアと変わらなかったが、こってりとしたミートソースやクリームソースがかかっている。しかも、大量のジャガイモを一緒に食べる。サラダのカウンターは用意されているものの、そこには生野菜だけでなく、またしてもゆで卵やエビが出ており、選手たちはそれを酢漬けのオニオンやキュウリのピクルスと一緒にほおばるのだった。 夜は夜で、スパイシーなソースがたっぷりとかけられた肉料理が食べ放題となっており、魚類は一切メニューに含まれていない。そして、ドイツと言えばもちろんビール。軽くジョッキ1杯で済ませる者もいたが、選手によっては豪快に3杯を流し込む輩もいた。これは12年前の話だが、今もあまり変わっていないのが実情である。国際レベルの名門バイエルンでの食生活がこうなら、地方の中小クラブとなるといかなるものなのか……皆さんの想像にお任せしよう。 だから、イタリアからやってきた監督にとって、地元選手の反感を買わずに食事を変えることは非常に難しいことだった。トラップの場合は、そういうものばかりを食べているにもかかわらず、選手が元気に走り回るのを確認した上で、食事の内容は見て見ぬふりをするしかなかったのだ。 ミヒャエル・バラックを筆頭にドイツ代表の選手たちは、ヌテッラ(チョコクリーム)やマクドナルドのCM出演依頼を何の疑問も持たずに引き受け、しかも私生活で本当にマックに足を運ぶこともある。ピクルスやオリーブがアスリートに適していないと主張するイタリア人監督は、これを見てどう思うことだろうか。 |
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