文●アレッサンドロ・ボッチ text by Alessandro BOCCI
写真●グエリン・スポルティーヴォ photo by GUERIN SPORTIVO
W杯出場をかけた
大一番である
ハンガリー戦で
“まさか”は許されない

アッズーリはゴールを目前にして小石につまずいた。最大の敵と目されたルーマニアに2勝、グルジアに2勝していたアッズーリは、日本、韓国への切符を他の列強に先駆け、真っ先に手にすると誰もが思っていた。だが、「サッカーに絶対はない」ことが改めて証明されたのだ。イタリア代表は敵地カウナスでの戦いとはいえ、はるか格下のリトアニアに思わぬ引き分けを強いられたのである。そして、その4日後、ルーマニアがアウェーでハンガリーを破るという粘りを見せ、結局、イタリアのW杯本大会への出場は“しばし”お預けになった。

アッズーリは確かにつまずいた。だが、「天国から地獄に落ちた」というほど悲観的なものではない。背後にルーマニアの姿は見えるが、足音が聞こえるほどの距離まで迫られたわけではない。10月6日にパルマのスタディオ・エンニオ・タルディーニで行われるハンガリー戦で負けない限り、W杯本大会出場が決まる。おそらく、読者がこの記事を読んだ数日後には、すでにアッズーリは本大会への切符を手にしているはずである。トラップ率いるアッズーリに、“まさか”は許されないのだ。

リトアニア戦でのイタリアのプレーをTVで観戦した数多くのイタリア人が、アッズーリの不甲斐なさに長いため息をついた。リトアニアの地で生のプレーに接した私自身も“いらつき”を感じざるを得なかった。だがトラパットーニ監督は、このゲームに関して終始平静を保っていた。「アッズーリが9月にトップコンディションでプレーしたことが、かつてあったかい?選手たちはセリエAを戦い抜くために夏場にハードなトレーニングをしているんだ。その疲労がピークに達するのが9月。我々にとってこの時期にアウェーで勝ち点3をもぎ獲ることは至難の業なんだよ」とアッズーリ周辺に漂う悲観的ムードを一掃しようとした。

確かに、シーズン当初のイタリア勢はヨーロッパカップでも常に苦戦を強いられている。したがって、10月6日のハンガリー戦ではコンディションも相当上がっていると予想される。だが、だからといって、トラップが10月6日を迎えるまでの間、平穏な日々を送ることができるとは考えにくい。アッズーリも、それなりに、数多くの悩みを抱えているのだ。

故障がちのクリスティアン・ヴィエリはトラップ体制になってからまだ2試合しかプレーしていないという事実。ヴィエリの欠場は完全復帰を遂げたアレッサンドロ・デル・ピエロで穴埋めが可能としても、もしフランチェスコ・トッティがケガをしたら誰がその穴を埋めるのか?ステーファノ・フィオーレはスランプから抜け出せない状態。「トッティがコケたら皆コケた」なんてことだって考えられるのだ。さらに、中盤のサイドの弱体化も気になるところである。現時点で一応合格点をもらっているのはジャンルーカ・ザンブロッタのみ。ジュゼッペ・パンカロにしても、フランチェスコ・ココにしても、トラップの信頼を勝ち獲るまでには至っていない。ジャンルーカ・ペッソット、アンジェロ・ディ・リーヴィオといったベテラン勢が、未だにアッズーリのメンバーに名を連ねているというのも、一抹のさみしさを感じさせる。パオロ・マルディーニ、ファビオ・カンナヴァーロ、アレッサンドロ・ネスタの3バックは、おそらく世界最強だろう。だが、問題はDFの控えの層の薄さ。彼ら3人の後を継ぐ若手の台頭がないというのがトラップの悩みの一つなのだ。

それでは、10月6日の“本大会出場決定”を前にして、ここで現時点のアッズーリの戦力分析を、ポジションごとに行ってみることにしよう。
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