| ◇ |
サッカー協会にて監督会議を終えたファビオ・カペッロとロベルト・マンチーニが、立ち話をしている。 |
| カペッロ |
「マンチーニ君、君のラツィオはなかなかやるじゃないか。成功の秘訣はなんなんだい?」 |
| マンチーニ |
「カペッロさん、秘訣なんて簡単ですよ。頭の良い選手を起用するんです」 |
| カペッロ |
「しかし、頭が良いか悪いか、そう簡単にわかるものかね。君はどうやって見分けているんだい?」 |
| マンチーニ |
「簡単ですよ。質問をして、賢い答えができるかテストをするんですよ」 |
| カペッロ |
「ふむふむ、それは興味深いね。ちょっと、具体的な例を示してくれんかい?」 |
| マンチーニ |
「いいですよ。今、ウチのステーファノ・フィオーレ君に電話してみますね」 |
| ◇ |
マンチーニは、カペッロにも聞こえるように、スピーカーフォンでフィオーレに電話をかける。 |
| マンチーニ |
「フィオーレ君? マンチーニだ」 |
| フィオーレ |
「はっ、監督。なんのご用でしょうか?」 |
| マンチーニ |
「フィオーレ君、このなぞなぞの答えを言いたまえ。君のお父さんとお母さんに子供がいて、それが君の兄弟ではないとしたら、それは誰だろう?」 |
| フィオーレ |
「監督、答えは簡単ですよ。それは、僕です!」 |
| マンチーニ |
「そのとおりだ。フィオーレ君、ありがとう」 |
| ◇ |
カペッロは深く納得した様子。 |
| カペッロ |
「なるほど。これは選手の頭の良さを判定するのに最高の方法だ。私もさっそく、採用してみようではないか」 |
| ◇ |
マンチーニの“インテリジェンス・テスト”がよほど気に入ったのか、カペッロは翌日、トリゴリア・ローマ練習場で自軍選手の頭の良さを試すことにする。まずは、トッティを呼ぶ。 |
| カペッロ |
「フランチェスコ、ちょっと」 |
| トッティ |
「なんスか、監督。FKの練習っスか?」 |
| カペッロ |
「違う、違う。ちょっとテストをしたいんだ。簡単な質問に答えてくれたまえ」 |
| トッティ |
「いいっスよ、監督。なんスか?」 |
| カペッロ |
「フランチェスコ、君のお父さんとお母さんに子供がいて、それが君の兄弟ではないとしたら、それは誰なんだろう?」 |
| ◇ |
沈黙するトッティ。
一生懸命考えるが、答えが全くわからない様子だ。 |
| トッティ |
「ええっと……。父さんと母さんの子供だけど……オレの兄弟じゃない……、誰っスかねぇ!? 監督、すいません。ちょっと考える時間、もらっていいっスか?」 |
| カペッロ |
「もちろんだよ、フランチェスコ。答えは練習が終わってからでもいい」 |
| ◇ |
トッティはチームメートと合流し、カペッロの質問について語る。 |
| トッティ |
「おぅ、みんな。監督の頭がおかしくなっちゃったみたいだぜ。なんか変な質問をするんだ。君のお父さんとお母さんに子供がいて、それが君の兄弟ではないとしたら、それは誰かって」 |
| ◇ |
チームメートも一生懸命考えてみるが、答えは出てこない。 マルコ・デルヴェッキオも、ヴァンサン・カンデラも、アントニオ・カッサーノもお手上げ状態。
そこで、トッティは用具係のマリオにも同じ質問をする。 |
| トッティ |
「おぅ、マリオ。よく聞けよ。あんたの父さんと母さんに子供がいて、それがあんたの兄弟じゃないとしたら、それが誰なのかわかるかい?」 |
| ◇ |
用具係のマリオはすかさず答える。 |
| マリオ |
「それは、オレだよ、オレ」 |
| ◇ |
ようやく謎が解けたトッティは、得意そうにカペッロのところへ行く。 |
| トッティ |
「監督、答えがわかりました!」 |
| カペッロ |
「そうか、そうか。では、言ってごらんなさい」 |
| トッティ |
「用具係のマリオ、です!」 |
| カペッロ |
「なんだ、君は本当に頭が悪いね。正解は、ラツィオのフィオーレだよ!」 |