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 2004.02.04
インテルvsシエナ終了直後、シエナのDFブルーノ・チリッロはいきなり生放送サッカー番組の中継に現れ、ロッカールームへ向かう通路でインテルのマルコ・マテラッツィDFに殴られたことを訴えた。パンチによって切れ、腫れあがった唇を見せながら、チリッロはこう発言した
「見てください。今さっき、僕はマテラッツィに殴られたのです。試合中、ピッチサイドからマテラッツィはキリー・ゴンサーレスに『そいつはヘタクソ野郎だ、潰しちまえ』って叫び続けてました。で、試合が終わってマテラッツィに『どうしてあんなことを言うんだ』って聞きにいったら、いきなりげんこつを喰らわされたのです。僕はこれから病院にいかなくちゃいけませんが、その前に皆さんにマテラッツィがどんな男か知らせたかったのです」

シエナのMFロベルト・ダヴェルサは、インテル戦直後のインタビューでこうコメントした
「今日の試合の内容について話すつもりはありません。サッカーのことより、マテラッツィ君の紳士的な行為について話したいです。彼はゲームに出場しなかったし、ベンチにも入ってませんでした(注:ケガ中のマテラッツィは、私服でピッチサイドから試合を観戦した)。なのに、チリッロに対して『ヘタクソ』とか『セリエAにふさわしい選手じゃない』などの侮辱的な発言ばかりしていて、しまいにはチリッロを殴ったのです。なんと素晴らしいお人でしょう、マテラッツィ君って」

マッシモ・モラッティ氏に代わってインテル会長の座に就任したジャチント・ファッケッティ氏は、事情を知ってすぐ、シエナの更衣室を訪れ、インテルを代表して謝ったという。スタジアムから生中継でインタビューされたファッケッティ会長はこう発言
「マルコ(マテラッツィ)は、後悔して泣いています。しかし、後悔するだけでは済まない、重大な出来事です。それは、本人も把握しているはずです。決して起きてはならないことですから。クラブとしてはマテラッツィ選手に厳重な罰を与えるつもりです」

インテルvsシエナ終了から1時間以上経って、サッカー番組のカメラの前に現れたマルコ・マテラッツィは、こう発言した
「確かに、起きてはならないことだというのは、わかってます。まあ、ピッチで冷やかし合ったり、いがみ合ったりするのはしょっちゅう起きてることですけど。オレ自身、『お前はヘタクソだ』なんて、毎日言われてますよ。何はともあれ、試合が終わってピッチを出る時、後ろからチリッロが迫ってきたので、オレは危機を感じたのです。怖くって、思わず手を出したんです。結果としてケガしたのは彼でしたが、オレがやられるってことも考えられたわけですから。実際、オレが殴られたってことは今まで何度もありました。でも、オレはいちいち訴えてきませんでした。クラブですか? インテルはオレをかばってくれるとは思いますけど、まあオレが悪かったんで、どんな処分でも受け入れるつもりです。チリッロ本人に謝ったかって? 機会があれば、近日中に謝るつもりです」

インテルのアルベルト・ザッケローニ監督は、この事件についてこうコメント
「シエナの選手が口から血を出しているのを見ただけで、私は実際何が起きたのかは知りません。ウチの選手の責任であるならば、確実に適正な罰が与えられることでしょう。しかし、一つだけ言わせてもらえるなら、いくら被害を受けたとはいえども選手がテレビにいきなり出て事件を訴える、という行為に私は賛成できません。何が起きたにしても、こういうことは裏で処理すべきものだと思います。サッカーの世界が放つイメージやメッセージは、もっと違うものであるべきだと思いますから」

アンコーナのジョヴァンニ・ガレオーネ監督は、マテラッツィに対して厳しい発言を放った
「私に言わせれば、マテラッツィみたいな人はインテルのように歴史と栄光のあるクラブに所属するにふさわしくない。もう二度と代表に招集されるべきではない、とも思う」

事件から一夜明けて、シエナのパオロ・デ・ルーカ会長はこう発言
「確かにマテラッツィは卑怯な行為を犯したわけですが、私はチリッロに『許す根性を持つことも必要だ』と言いました」

テレビでマテラッツィvsチリッロ騒動を追った会社員のアントニオ・Sさん(37歳、ちなみにローマファン)は、こんな意見を
「チリッロを冷やかしたマテラッツィは、想像を覆す仕返しを喰らってしまったね。チリッロとしては、試合が終わってマテラッツィを殴るより、殴られたほうが得だったってわけさ。イタリア全国民が観てる日曜夜のサッカー番組に相次いで出て、マテラッツィを訴えることができたわけじゃん。番組も特ダネだから、喜んで放映したしね。みんな、口から血を出してるチリッロを見て、『マテラッツィってひどいヤツだ』って思ったに違いないよ。前から乱暴者のイメージが強いマテラッツィだからこそ、みんな疑りもせず『マテラッツィが悪い』と思ったでしょう。チリッロが挑発したかもしれないとか、チリッロが先に殴りかかったかもしれないとか、誰も思わないで。そもそも、チリッロはナポリ人。なんの罪もない被害者のふりをして、本当は自分のいい方に物事を進めるのが上手いんだよ。マテラッツィは、まんまとハメられた、ってわけだね」

ローマ在住・高橋 在